1年中大活躍、身近な繊維「木綿」の魅力&お手入れ方法を再確認

私達にとって最も身近な繊維は「木綿」ではないでしょうか?木綿は、シャツや肌着、タオルやシーツなど、日常の様々な場面で使われています。今回は木綿の魅力や織り方の種類、お手入れ方法などをご紹介します。

木綿は英語名をcotton(コットン)といい、原料は綿(わた)の木の種実です。綿の木はアオイ科の植物で、原産地は熱帯、現在では熱帯から温帯にかけて広く栽培されています。

綿の種実は収穫後に綿毛と種子に分けられ、綿毛は木綿の材料になり、種子を絞ったものは綿実油となります。

綿毛の成分はセルロース(炭水化物の一種)で、中が空洞のストローのような組織です。綿毛は乾燥するとねじれる性質があり、これを利用して糸を紡ぎます。

木綿はインドから中国を経由して日本に渡り、江戸時代には庶民の衣類として使われるようになりました。木綿が広まる前の日本では絹のことを「綿」と呼んでいたので、2つの区別をするために絹の事を「真綿」と呼ぶようになりました。

木綿の布には、いくつかの織り方があります。

平織りは縦糸と横糸を規則正しく交互に織り上げたもので、薄くて丈夫です。ワイシャツなどに使われているブロードが代表的です。乳児の衣類などに使われるガーゼも平織りの一種です。

綾織りは、縦糸と横糸の交差の際に途中の糸を何本か抜かすことで斜めの模様を作ります。綾織りの布は厚地で柔らかい特徴があります。ジーンズなどに使われているデニム生地が代表的です。

朱子(しゅす)織りは縦糸・横糸のどちらか一方を多く表に出す織り方です。1方向の糸が多く見えるので光沢がある半面、摩擦などに対する強度は強くありません。代表的なものはサテン生地です。

パイル織りは、タオルやトレーナーの内側などに使われるループを作った織り方で、吸水性が高いのが特徴です。

Tシャツなどに使われる編み方は天竺編みといいます。天竺編みは縦糸や横糸ではなく、セーターを編むように1本の糸で編んでいき、伸縮性があります。

木綿の魅力は何と言っても自然な肌触りです。また、吸湿性や保温性に富んでいるので季節を問わず1年中活躍してくれます。肌への刺激が少ないので皮膚の弱い方でも比較的安心して着る事が出来ます。

更に、染色が容易で価格は安価、熱や水、アルカリに強い性質を持っています。

木綿の短所は、乾きが遅い事と縮みやすい事です。また、木綿は摩擦により繊維が白っぽく見えてしまいます。黒いTシャツが古くなると色褪せるのはこのためです。

では木綿のお手入れ方法を確認しましょう。丸洗い出来る事が木綿の魅力でもありますが、おしゃれ着や色の濃いものは少し注意が必要です。

おしゃれ着は、できれば手で押し洗いをして、脱水は極力短時間で済ませ、乾燥機は使わずに陰干ししましょう。シワをつけない様に乾かすのがコツです。

色が濃い衣類は、洗剤と同量の塩を入れて洗うと色止めになります。また、洗濯を繰り返して色が落ちてしまったジーンズは、新しいジーンズと一緒に洗うことで色がよみがえります。

木綿のタオルのゴワつきは、柔軟剤の代わりに「お酢」で代用する方法もあります。すすぎの際に少量のお酢を加える事でふんわりと仕上がり、殺菌効果も期待できます。

最後に、黄ばんでしまった衣類を白く蘇らせる方法を紹介します。それは、「煮洗い」という方法です。大きめの鍋(ステンレスかホーロー)に洗剤を溶かし、衣類やタオルを入れて20~30分煮ます。その後普通にすすぎます。

この方法は、生乾きの匂いの対策としても有効です。また、季節の終わりに煮洗いをして保存するのもお薦めです。

身近な繊維の木綿、上手にお手入れをして長く愛用したいものです。

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