ナチュラルな風合いと肌にまとわりつかないシャリ感が魅力「麻」

春から夏にかけて多く見かけるのが「麻」を使った衣類や小物です。麻製品は、ナチュラルな風合いと汗や熱がこもらずサラッと着られることが人気の理由です。

麻は植物からとれる繊維の総称で、原料になる植物は20種類以上あります。代表的なものには、リネン(亜麻)・ラミー(苧麻/ちょま)・ヘンプ(大麻)・ジュート(黄麻)などがあります。

これらの麻は、靭皮(じんぴ/植物の外皮のすぐ下にある部分)の繊維を使っています。麻は強い性質をもつ繊維で、水に濡れると更に強くなります。

また、ハリのある素材が清涼感を感じさせ、吸湿した水分の発散が早いことも涼しさをプラスしています。色は白~生成りで光沢があります。

麻は他の繊維と混ぜることで新たな魅力が生まれます。更に、使わなくなったら自然に帰るエコな素材です。ただ、伸縮性が低くシワになりやすい面もあります。

リネンとラミーの主な用途は、春夏物のシャツやブラウス・ハンカチなどです。洗濯に強く清潔感もあるので、リネンはホテルやレストランのテーブルナプキンやシーツなどにも使われています。また、繊維が残りにくいことから、グラスを拭くためのフキンとしても重宝されます。

ヘンプは衣類の他、伸びにくい性質を利用してロープや縄などにも使われています。ヘンプは天候や害虫などに強く肥料や農薬を必要としません。また、日本では弓の弦や神社のしめ縄などに使われています。

ジュートは、豆や穀類を運ぶ「麻袋」として使われる事が多いです。また、植物の寒さよけなどにも使われます。

その他、製紙材料として使われるケナフ(洋麻)も麻の一種です。

靭皮の繊維以外には、葉脈の繊維を使うマニラ麻やサイザル麻があり、その堅さと丈夫さを生かし、ロープなどに使われています。

麻の原産地はヨーロッパ・ロシアからアジアまで広範囲に渡っています。日本でも古くから栽培されていて、万葉集にも「麻衣」(あさごろも)といった言葉が登場します。木綿が庶民に着られるようになったのは江戸時代以降なので、麻の方がずっと古い付き合いになります。

麻の中でも、細い麻糸を使った高級な麻布を特別に上布(じょうふ)と呼びます。上布は、その地域の気候などを生かした独特の織り方をします。上布の反物は過去には幕府などへの献上品にも使われました。

上布を作っている地域には、越後(新潟県)、近江(滋賀県)、能登(石川県)、宮古(沖縄県)、八重山(沖縄県)などがあり、現在もその技術が受け継がれています。

麻は夏場に多く着る素材なので洗濯をする回数も多くなります。リネンやラミーなど麻の衣類や小物の洗濯やお手入れの方法を見ていきましょう。

麻の弱点はシワがつきやすいことと、繊維が擦れて白っぽくなることです。これらを避けるため、出来れば手洗いをお薦めします。

洗濯の前には、必ず洗濯表示のタグを確認します。洗剤はおしゃれ着洗い用を使うといいですが、普通のものでも構いません。ただし、蛍光増白剤の入ったものは避けましょう。

洗濯後は、柔らかく仕上げたいのなら柔軟剤、パリッと仕上げたいのなら糊付けをお薦めします。(両方を併用することもできます。)

洗濯機を使う場合は、ネットに入れて弱水流で洗います。この時、洗濯機に入れる衣類の量を控えめにすると擦れによる色落ちを防げます。

麻の洗濯は、脱水の仕方にポイントがあります。脱水は1分程度、水がしたたる位で取り出し、ハンガーなどに掛けてシワを伸ばして乾燥させます。日光にあたると色あせしてしまいますし、水が垂れる可能性もあるので浴室に干すといいでしょう。

麻製品は丈夫な素材です。丁寧にお手入れをして永く愛用してあげて下さい。