羊だけじゃなかった!私達を暖かく包んでくれる「ウール」の種類

秋風を冷たく感じる頃になると、ウールを使った衣類が店頭に並びます。空気を抱き込んでフワッと暖かい点がウールの魅力です。今回はウールの特徴や種類、お手入れの方法をご紹介します。

ウールの特徴として、その暖かさはよく知られていますが、実は夏には涼しい素材となります。これは、ウールの繊維の中が空洞になっていて熱伝導率が低いためです。

ウールは水は弾きますが、空気中の湿気を吸って放出します。その際に気化熱を奪うので涼しさを感じます。水を弾くことで汚れが付きにくい効果もあります。

その他、弾力が高いことも特徴です。このため、ウール製品はシワになりにくく、形くずれも少ないです。

ウールは染色しやすく色落ちしにくいので、カラフルな色合いを楽しむ事が出来ます。更に、ウールには燃えにくい性質があります。仮に火がついても燃え広がる事はありません。

水分を含んだ状態で繊維が絡むとフェルト化するのも特徴です。(セーターが縮むのはこれが原因です。)

ウールを刈っている羊の多くは「メリノ種」という種類です。毛がモコモコしていてツノが丸くカールしている、年賀状にも多く描かれている羊です。

メリノ種の羊は、オーストラリア・ニュージーランド・フランスなどで飼育されています。その毛は細くて白く、弾力性にも優れている、上質なウールです。

イギリスで育てられている羊の毛は、「英国羊毛」と呼ばれます。山岳地方などの厳しい気候で育った羊の羊毛は、縮れが強く耐久性が強いのが特徴です。大量生産ができないので貴重なウールです。

スコットランド地方で作られている「ツイード」という布もウールが使われています。ツイードには、サフォーク種やスコティッシュ・ブラックフェース種の毛が使われます。どちらも顔が黒い羊です。

羊以外には、山羊やラクダの毛も使われています。(これらの獣毛は、厳密には「ウール」ではなく「ヘアー」と呼びます。)

アンゴラ山羊の毛を使ったものは、「モヘア」といいます。毛は長くて光沢があります。トルコやアメリカ、南アフリカなどが原産で、中でもトルコ産は最高級と言われています。

セーターなどでも人気の「カシミア」はカシミア山羊の毛を使っています。カシミアは、滑らかで柔らかく、毛布などにも使われています。原産は中央アジアなどです。

その他、ふたこぶラクダの毛を使った「キャメル」、南米のペルーやボリビア原産の「アルパカ」の毛も利用されています。

次に、ウールのお手入れ方法を紹介します。ウールは天然の素材で呼吸をしています。スーツなどは毎日続けて着るのではなく、1日着たらハンガーにかけ、ブラシをかけておきましょう。時々アイロンの蒸気を当てると生地の風合いが戻り、匂いもとれます。

セーターは、湿気を飛ばしたらたたんでおきます。洗濯する時は洗濯表示のタグに従い、洗濯機を使う時はネットに入れます。乾燥機は使わず、平らに干します。平らな所がない場合は風呂のフタにバスタオルなどを広げて干しましょう。

ウールはとても虫が付きやすい素材なので、シーズンオフには洗濯をしてから防虫剤を使って保管しましょう。カビ防止には乾燥剤も有効です。

防虫と湿気とりを兼ねた匂い袋を手作りすることも出来ます。不織布のパック(お茶などを入れる物)に重曹を入れ、アロマオイルを数滴たらします。アロマオイルは、防虫効果のあるレモングラスやラベンダー、ユーカリなどがお薦めです。

これを更にハンカチなどに包んでタンスの隅に入れておきます。直接衣類に付かない様に少し隙間をあけるようにして下さい。

ウールの衣類、大切にお手入れをして、いつまでもその風合いと暖かさを保ちましょう。

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